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                                               (本文中の個人名はすべてイニシャルにしています)

  全国善意通訳の集い 松島大会

前号でも概要を報告しましたが、善意通訳者の会(SGG)の第12回目となる全国大会が、112日(金)、3日(土)
2日間、松島町の文化観光交流館「アトレ・るHall」を主会場として全国から約200名が参加して開催されました。
実施内容の詳細を分担して報告します。

1.全体プログラム

                                            by   I T
   以下のような流れで進められました。

1日 1300 開会式

     1330 基調講演「魅力あるガイディングを目差して」

    (株)ランデルズ代表取締役 R Y 氏

     1510 分科会討議(以下の4分科会に分かれて)

           第1分科会「ガイド養成とガイド力向上の研修」
           第2分科会「外国人に喜ばれるガイドの仕方の工夫」
           3分科会「SGGのもう一つの役割・異文化交流の場の提供」  
           4分科会「緊急時の対応及びSGGの連携」   

     1830 交流会(ホテル松島大観荘)

第2日    9:00 各分科会報告
940 開会式
1030 4コース(石巻、仙台、平泉、松島)に分かれての実地研修

開会式の主催者挨拶で、JNTO(日本政府観光局)理事のY氏から、「インバウンドによる
経済規模として、
2,020年度8兆円、2,030年度13兆円を見込む」との計画が紹介されました。
13兆円という数字は、自動車の輸出額を抜いて外貨獲得の第1位となる、とのことです。
ものづくり立国から観光立国へのシフトが予想以上のスピードで進んでいると感じ、
企業のエンジニアとしてものづくりに携わって来た者としては、少々複雑な気持ちになりました。
一方で、善意通訳者の活躍の場がますます広がることでもあり、「頑張らないと!」
という気にさせるものでもありました。

        基調講演は、寸劇(G副会長がメンバーの一人として出演)を取り入れて、意志疎通の難しさを
         再認識させてくれるものでした。自己の文化を知ること、相手のルールを見抜くこと、
         自由な発想をすること等、いくつかのガイディングのポイントが提示されました。
         その後各分科会での討議に移り、分科会終了後の交流会では、新鮮な松島の海の幸を味わいながら、
         各地の
SGGと交流を深めました。

           2日目は、各分科会の報告の後に閉会式が執り行われ、講評では、当会が担当した第3科会の
         テーマは時宜を得たものであったとのコメントもありました。最後に、当会のG副会長の 
         閉会の辞で全体会議は締めくくられました。

2.各分科会の報告

                                                  by   S S
・第1分科会 テーマ「ガイド養成とガイド力向上の研修」
私が参加した第1分科会では、3つのテーマがあり事例3名の発表後に参加者のSGGの会員より質疑討論が活発に行われた。
私が印象に残った内容を主に記載する。

1.ガイド養成方法は如何に
関東、関西方面のSGGの会員は、観光名所主要な場所が多いため、独自の観光マニュアルを作成し、全会員が情報を
共有し語学も同じレベルを保つ様に各自努力をしているとの事。関西方面のある
SGGでは、会員になる前に
入会筆記面接テストを行い合格者のみ会員とし、不合格者は何度でも合格するまで挑戦をしてもらっているとの事。
これには私も含め参加者全員が驚いた。

2.ガイド力をキープするため、どんな取り組みと工夫をされているか
主なSGG会員の共通点は留学生や英語母国語の知人に講師として依頼し、実地ガイド研修等の勉強会を定期的に開催しているとの事。

3.近年顕著になっている翻訳機能のIT化をどう捉えているか
ファシリテーターの意見であるが、全体的にSGGの会員の年齢層が高くIT機器対応については懸念材料であったが、
今回、関西地区の
SGGIT活用実例紹介があった。主な英語圏のガイド依頼者はスマホ携帯にWhatsAPPというメッセージアプリを
利用する事が多い(
LINEの海外版のイメージ)。そのアプリをダウンロードすると、手軽にガイド依頼者と容易に連絡を取れたので、
便利ツールとしてダウンロードを勧めてくれた。但しスマホ携帯使用者でそのアプリをダウンロードできる
IT環境に限られるので、
ガラ携帯使用者は、残念ながら
WhatsAPPを利用できないという「オチ」があった。これには、全員大爆笑!

討議中、関東や関西方面のSGG会員の意見交換が活発でマイクの奪い合い合戦だったのでハラハラしたが、大笑いの渦の中、
分科会が閉会となった。
SGGの会員は、観光客が日本に滞在中少しでも日本を満喫してもらう為の善意の気持ちでSGGの活動に
取り組んでいると感心した。皆さん、真剣で真面目だった。今回初めて全国大会に参加し東北
SGGの皆さんとも交流出来、
Gさんや今回出会った
SGGの方々、特にホストの松島SGGの「笑顔の絶えない東北のおもてなし」の素晴らしい対応に感謝、
感動の大変貴重な体験であった。松島全国大会、大成功!関係者の皆様に改めて感謝を申し上げます。                                          
   

・第2分科会 テーマ「外国人に喜ばれるガイドの仕方の工夫」

                                                                    M S
 ファシリテーター:Yさん(神奈川SGGクラブ)、事例発表者:T Rさん(平泉善意通訳者の会)、
 司会:Sさん(平泉善意通訳者の会)

「地域の歴史や文化について、私たちが伝えたい事と、日本を訪れる方々が知りたいと思う事は、
必ずしも同じとは限りません。しかし、私達は外国からのお客様が、どんな目的で日本を訪れ、
どんなことに興味を持っているかを知る事で、より喜ばれるガイドができるのではないでしょうか。
そのためには、どのような取り組み、工夫ができるのか、情報の共有と意見交換をお願いします。」
と第
2分科会は始まりました。R Y氏の基調講演に繋がるような体験談、ご意見がたくさん出されました。

分科会では、次の三つのサブタイトルで話し合いをしました。

1.「日本をどのように伝えるか」 2.「依頼者の興味を引き出す工夫」 3.「わかり易く楽しくガイドする方法」

出された具体的な工夫を羅列します。@超アナログのイラストとIT(百科事典など映像)を使って Aストーリー性
を持たせて説明する B前半分だけのエプロン式きものを着せて、案内、写真を撮ってあげる 
C依頼者についての情報を得るために、ガイドするまで
10回以上、メールのやりとりをする 
D体験型ツアー Eガイドの最初に、「笑いをとる」。例えば、「大阪城は
7階建てで、コンクリートでできています。
世界遺産にはなっていません。」などなど。

感想として、私は、「井の中の蛙」だと思いましたし、カルチャーショックを受けました。
そして、報告書が出たら、
MGGC会員のみなさん、ぜひ、全国大会の様子を読んで欲しいと思います。

・第3分科会 テーマ「SGGのもう一つの役割・異文化交流の場の提供

                                                                  G K
MGGCは第3分科会の担当となりました。司会;O Tさん、ファシリテーター;I Tさん、事例発表;K Mさん、
高知
SGGK K さん、での討議となりました。

司会から、第3分科会が他の分科会より短く、1時間30分の討議となることの説明(討議後、DMC関連の40分の講演が
この分科会であるため)の後、今回のテーマ、「
SGGのもう一つの役割・異文化交流の場の提供」という今までにない
内容とした
設定理由について私(G)から説明を行いました。

事例発表としてK Mさんからは、MGGCが長く行っているフレンドシップ・ファミリー・プログラムを中心とした交流の
発表を行いました。K Mさんが伝えたかったことは、
MIAが財政事情で廃止となったこのプログラムを、現在小規模ながら
MGGCが継続しているが、この草の根交流は続けていきたい。留学生は宮城や日本の事を発信してくれる大切な存在であり、
これがインバウンドにつながることを期待している、ということでした。高知
SGGのK Kさんからの事例発表では、
宮城とは非常に対照的で、観光地だけあり、特に印象的だったのは、様々な場所へ行くときは前もって実地研修や下見を行う。
また、何かのイベントを行った際は必ず記録し、マニュアルを作る、とのことでした。

討議の中の質問では特に資金の問題に関して、高知などは、いろいろな助成金に応募するようにしていることや、
イベントではそれなりの参加費用を決めることなどのお話がありました。また、
メンバーの高齢化の問題、活動の活性化、
文化交流の場をいかに企画するかなど、根本的な問題も出され、どの会も悩まれていることが分かりましたが、基調講演
にもあったように、異文化コミュニケーションを鍛えていく上で、私たち全国
SGGの活動は極めて有効な手段ではないか、
ということでは一致しており、今後ともそれぞれの活動継続をしていくという思いで討議は終わりました。

その後、「インアンドバウンド仙台・松島」G M氏より、DMODMCとの関連、今後の方向性とその対応などのお話
をいただいた。特に、インバウンド効果で、
2017年の訪日外客数は、全国で2,869万人と増加傾向にあり(2018年は3,119万人)
、東北地方への訪問客も
6県で、100万人を超えたことを喜んでいたのですが、全国の割合としては、せいぜい数パーセント
という事実(詳細は
JNTO統計参照)を踏まえ、今後の各SGGの課題を考えさせられる40分でありました。

3.実地研修(仙台コース)報告               

                                                                      M S
【実施日時】2018113日(土)103016:00

【参加者】11団体+個人318名、MGGCガイド 7名、計25

【コース日程表】松島町文化観光交流館(1030)⇒ 震災遺構・荒浜小学校(11001430)⇒ 慰霊碑(献花)
 ⇒ メープル館(
11501330)⇒ 瑞鳳殿(14101530)⇒ 仙台駅(1600

今回のコースは、紅葉最前線の候、申し分のない実地研修日和でしたが、ピクニック気分で楽しめるコースではありませんでした。
ある意味では、重苦しい鎮魂のコースを歩きました。つまり、
2011311日、大津波に被災した場所を訪れ、78ヶ月が経とう
としているとき、その場所が、今どういう状態になっているのかを見ていただくというコースでした。そして、仙台市内遊覧では、
伊達な文化として代表的な伊達家の霊廟である瑞鳳殿(国宝でしたが、戦災のため焼失。現在は復元)を見学していただきました。

当初から、このコースでの各ポイント、見学場所で案内するのは、長年そのことに携わって
来た方々にガイドしてもらおうと考えました。最初の見学地である震災遺構の荒浜小学校では、
懇切丁寧な案内表示、写真、ビデオ等が完備され、簡単なガイド役の説明で、駆け足の見学に
なってしまいました。記念写真で見る荒浜小学校の外観とは異なり、震災直後の様子を伝える
写真などから、異次元の津波の脅威を知ることができました。

献花は、閖上の慰霊碑のところで、行わせていただきましたが、この慰霊碑(8.4m)と同じ高さ
の津波が押し寄せたといいます。メープル館では、津波のビデオを見ながら、本人も被災された
語り部の櫻井広行さんからお話していただきました。

瑞鳳殿では、観光ボランティア「ぐるーぷ・よっこより」のN Hさんから初代、伊達政宗の霊廟
のみ
1時間かけて詳しく説明していただきました。時間の関係で、二代忠宗公の感仙殿、三代綱宗公の
善応殿を省かせていただきました。

宮城善意通訳者の会の7名は、移動中のバスの中で、東日本大震災の記録(K M)、スウェーデンの新聞記事(O T)、ボランティア・
植林活動(I T)、瑞鳳殿・伊達政宗(T H)について写真や資料を使って、プレゼンさせていただきました。なお、参加者の皆さん
からは、所属する
SGGについての紹介を含め、自己紹介をしていただき、お互いに情報を共有できたと思います。

ガイド役の私の不慣れのため、多々、不手際があったと思いますが、参加された皆さんに支えられて無事、実地研修を終えることが
できました。心から感謝申し上げます。                    

 



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